寒い日や一息つきたいとき、ロイヤルミルクティーは気持ちをやさしくほどいてくれます。けれど作り方は意外と繊細で、火加減や牛乳の比率が少し違うだけで口当たりが変わります。
この記事では、家にある道具で再現しやすい手順に落とし込み、牛乳と紅茶の相性や甘味の合わせ方までを一連の流れでまとめました。
焦らず火を入れ、香りを逃さず、やわらかな余韻を残す。そんな一杯を日常の定番にしていきましょう。
- 基本比率の目安は牛乳多めで口当たりを整える
- CTCやアッサムなどコクが出る茶葉が相性良好
- 弱火で煮出し→短時間で仕上げて香りを活かす
- 甘味・スパイスは後半で微調整しやさしく溶かす
- 作り置きは短期前提。温め直しは弱火で
ロイヤルミルクティーの作り方の基本
まずは迷わない土台を作ります。牛乳のやさしさと紅茶のコクを両立させる鍵は、比率・火加減・時間の三点です。家の鍋と手持ちの茶葉で再現できる範囲に寄せれば、いつでも同じ仕上がりに近づきます。ここでは材料と手順、注意点を一度に見渡し、失敗を先回りで避けていきます。
材料と比率の目安を先に決める
1人分(出来上がり約220〜240ml)の目安は、茶葉3〜4g、牛乳140〜160ml、水80ml前後、砂糖小さじ1〜2です。茶葉が細かいCTCなら3gから始め、リーフなら4gにすると厚みが出ます。甘味は最後に味見してから調整し、砂糖を使わない日は蜂蜜や黒糖に置き換えてもやさしい余韻が残ります。
火加減は「弱め安定」を守る
小鍋に水と茶葉を入れ弱火で1分ほどふつふつと煮出し、牛乳を加えたら極弱火で2〜3分。沸騰させず「鍋肌が呼吸する程度」を保てば、たんぱく質の匂いが立たず口当たりが滑らかです。焦りは禁物で、時間よりも火の穏やかさを優先します。
香りを逃さないタイミング
香りは最後に伸びます。仕上げの30秒はとても大切で、鍋縁を軽く泡立たせながら静かに混ぜると香気が乗ります。茶こしでやさしく濾し、カップは温めておくと温度の落ち込みを抑えられます。スパイスや甘味はこの直前から直後に溶かすのがベストです。
日常で回せる準備のコツ
小鍋・計量スプーン・細目の茶こしをひとまとめにしておくと、思い立ってから出来上がりまでが短くなります。牛乳は開封後の新鮮なものを使い、注ぎやすい計量カップに移しておくと分量のブレが減ります。毎回同じ器具で作ること自体が安定への近道です。
味をぶらさない「注ぐ・混ぜる」の所作
注ぐときは鍋肌から細く落とし、表面に小さな泡の輪を作る意識で。混ぜるときはスプーンを立てず、カップの底をなでるように1〜2回で十分です。動かし過ぎは温度を下げ、香りのまとまりを崩します。静けさを保つほど、甘味の角が取れていきます。
手順ステップ(1杯分の標準)
- 小鍋に水80mlと茶葉3〜4gを入れ弱火で1分煮出す
- 牛乳140〜160mlを加え極弱火で2〜3分温める
- ふつふつ手前で火を止め、砂糖を溶かして味を決める
- 茶こしで静かに濾し、温めたカップに注ぐ
- お好みでバニラやシナモンを一拍だけ香らせる
材料と比率の早見表
| 出来上がり | 茶葉 | 水 | 牛乳 |
|---|---|---|---|
| 約240ml(1杯) | 3〜4g | 80ml | 140〜160ml |
| 約500ml(2杯) | 6〜7g | 160ml | 320〜340ml |
| 濃いめ1杯 | 4g | 60ml | 160〜180ml |
牛乳と湯の比率で口当たりを調整する
口当たりは比率で生まれます。ここでは牛乳を主役にしながら、紅茶の厚みを損なわないバランスを探ります。朝の一杯、午後の甘い一杯、食後の軽い一杯と、時間帯でレシピを変えると満足感が安定します。比率の調整軸が一つ決まるだけで、好みの幅を自在に動かせます。
ベースは「牛乳7:水3」から
牛乳7:水3は、甘味が乗りやすく胃にやさしい比率です。濃厚にしたい日は牛乳を8に、軽くしたい日は6に下げます。水をゼロにすると香りが平板になりやすいため、少量の湯で茶葉の香気を先に立たせるのがコツです。
厚みを茶葉量で補う考え方
比率を固定して茶葉量で調整すると再現性が上がります。濃くしたい日は+0.5g、軽くしたい日は−0.5gを目安に。甘味を増やすより、茶葉を少し増やすほうがキレの良いコクになります。
温度設計で比率の弱点をカバー
牛乳が多いと冷めやすくなります。仕上げの30秒は鍋縁を軽く泡立てつつ温度を押し上げ、カップは必ず温めておきます。反対に軽め配合の日は、加熱を短くして牛乳の瑞々しさを残すと薄さを感じにくくなります。
比較ブロック(比率別の体験)
| 比率 | 口当たり | おすすめの場面 |
|---|---|---|
| 牛乳8:水2 | 濃厚・デザート向き | 午後の一息や夜のご褒美 |
| 牛乳7:水3 | 定番バランス | 毎日のベースに |
| 牛乳6:水4 | 軽やか・紅茶感強め | 食後や朝の一杯 |
ミニ統計(所要の目安)
- 弱火煮出し(湯+茶葉):約1分
- 牛乳投入後の極弱火:2〜3分
- 仕上げの香り出し:30秒
ミニFAQ
Q. 水を入れないとダメですか?
A. 不可ではありませんが、少量の湯で先に香りを立たせると輪郭がはっきりします。
Q. 二杯分をまとめて作っても味は落ちませんか?
A. 弱火を守れば問題ありません。注ぐ前に一度混ぜて温度を均します。
茶葉の種類と挽き方でコクを変える
ロイヤルミルクティーは茶葉選びで印象が大きく変わります。コク重視ならCTCやアッサム、香りの伸びならセイロン、余韻を残すならディンブラやウバも良い選択です。細かい茶葉ほど短時間で出やすく、リーフは時間を少し長めに取るとほどよく厚みが出ます。
CTCとリーフの住み分け
CTCは粒状で抽出が早く、牛乳に負けないコクが得意です。リーフは香りが立ちやすく、軽やかな口当たりになります。初めてならCTC3g、慣れてきたらリーフ4gで試し、家の火力に合わせて時間を微調整すると安定します。
産地で変わる香りの方向性
アッサムは黒糖や蜂蜜に合う丸い甘さ、セイロンは柑橘のような明るさ、ウバは涼しげなキレが特徴です。砂糖を使わない日はアッサム寄り、甘味を強くする日はセイロン寄り、と役割分担すると迷いません。
ブレンドの楽しみ方
CTC:リーフを2:1で混ぜると、抽出の早さと香りの伸びを両取りできます。余っている茶葉の救済にもなり、味が安定しやすいのが利点です。軽く混ぜてから計量すると配合の再現性が上がります。
ミニ用語集
- CTC:粒状の紅茶。抽出が早くコクが出やすい
- リーフ:葉の形が残るタイプ。香りの抜けが良い
- ディンブラ:伸びやかな香り。軽い仕上がりに
- ウバ:涼しげなキレ。甘味を引き締める
- アッサム:黒糖向きのコク。濃厚仕上げに
ベンチマーク早見(茶葉別の時間)
- CTC:湯1分+牛乳2分
- リーフ:湯1分30秒+牛乳2分30秒
- ブレンド:湯1分+牛乳2分30秒
鍋・ポット・電子レンジで変える作り方
道具が違えば熱の入り方も変わります。家の台所に合わせて最短でおいしく仕上がる方法を選びましょう。鍋は自由度が高く、ポットは香りが丸く、電子レンジはスピードが強みです。いずれも「沸騰させない」を共通ルールにすれば、失敗は大きく減ります。
鍋で丁寧に煮出す
湯+茶葉を弱火で1分、牛乳を加えて2〜3分の極弱火。鍋肌が小さく泡立つ手前で止めます。直火は温度コントロールがしやすく、濃度と香りの着地点を狙いやすいのが魅力です。最後の30秒は混ぜすぎず、縁の泡だけ整えます。
ティーポットで手軽に
ポットに茶葉と熱々の湯を入れて1分置き、別鍋で温めた牛乳を注いでさらに2分。タオルで保温すれば抽出が安定します。直火よりも香りがまるく、軽やかな後味になります。牛乳は必ず事前に温め、香りの落ち込みを防ぎます。
電子レンジでスピーディに
耐熱カップに水と茶葉を入れ、600Wで40〜50秒加熱。茶葉を濾して牛乳を加え、再度20〜30秒。過加熱を避けるため10秒刻みで様子を見ます。香りは穏やかですが、忙しい朝に嬉しい手順です。
有序リスト(道具別の流れ)
- 鍋:湯で香り→牛乳で厚み→縁の泡で仕上げ
- ポット:湯で香り→温めた牛乳→保温で待つ
- 電子レンジ:短時間加熱を分けて繰り返す
- 共通:沸騰させない・カップは温める
- 最後に甘味と香りをやさしく合わせる
無序リスト(便利な小物)
- 細目の茶こし:口当たりを整える
- ミルクピッチャー:注ぎのコントロールに
- 温度計:不安な日は70〜85℃の確認用
- 耐熱カップ:レンジ調理の安定に
- タイマー:仕上げ30秒の管理に
よくある失敗と回避策
沸騰させてしまう:極弱火に下げ、鍋肌の泡を目安に止めます。
薄い:茶葉+0.5gか、湯1分の煮出しを10〜15秒延長します。
乳臭さ:仕上げ30秒の温度押し上げと、注いだ後の静かな混ぜを徹底します。
甘味・スパイス・乳製品で広がるアレンジ
アレンジは自由ですが、足し算より引き算の設計が失敗を減らします。砂糖・蜂蜜・黒糖は温度帯で溶け方が違い、バニラやシナモンは香りのタイミングが命です。乳製品を替えると口当たりの印象もぐっと変わり、気分に合わせた一杯が作れます。
甘味の選び方と入れる順
砂糖は溶けやすく輪郭がはっきり、蜂蜜は余韻が長く、黒糖はコクを深めます。入れるのは火を止めた直後が基本で、鍋縁の泡を壊さないように溶かします。多く入れるほど香りが鈍るため、まずは小さじ1から。
スパイスは「一拍の香り」を狙う
シナモンは最後に軽く、カルダモンは砕いて最初の湯に一粒、ジンジャーは牛乳投入後にひとかけ。長く煮るほど主張が強くなるので、香りが出たら止める勇気を持つと上品にまとまります。
乳製品を替えて口当たりを調整
低脂肪乳は軽く、全乳は丸く、生クリームを少量足せばデザート寄りに。オーツやアーモンドなど植物性ミルクは香りの相性を見つつ、弱火でやさしく温めると層が分かれにくくなります。
比較ブロック(甘味・乳製品の相性)
| 素材 | 印象 | おすすめの使い方 |
|---|---|---|
| 砂糖 | 輪郭が出る | 基本形の味決めに |
| 蜂蜜 | 余韻が長い | 軽め配合の日に |
| 黒糖 | コクが深まる | アッサム・CTCに |
| 全乳 | 丸い口当たり | 定番の軸に |
| 低脂肪乳 | 軽い | 朝の一杯 |
| オーツ | 香ばしい | スパイス寄りの日に |
ミニチェックリスト
- 甘味は火を止めてから溶かしたか
- スパイスは狙いのタイミングで入れたか
- 乳製品はその日の気分に合っているか
- 香りが立つ30秒を確保できたか
- カップは温めておいたか
保存・温め直し・ヘルシーアレンジの勘所
作りたてが一番ですが、暮らしの都合で作り置きしたい日もあります。短期の保存や温め直しのコツを押さえ、乳糖への配慮やカロリー調整のアレンジも用意しておくと、いつでも気持ちよく飲めます。無理のない範囲で続けられる選択肢を増やしましょう。
作り置きのルール
冷蔵で12〜24時間を目安に。温め直しは鍋で極弱火、もしくは電子レンジで10秒刻み。沸騰手前に近づけるほど香りが戻り、乳臭さは出にくくなります。保存前に茶葉は必ず濾しておきます。
ヘルシーに寄せる工夫
砂糖は少量の蜂蜜に置き換え、乳脂肪は低脂肪や植物性へ。スパイスで満足感を上げると甘味を減らしても物足りなさを感じにくくなります。夜は量を半分にして香りを楽しむのも一手です。
アレルギー・乳糖への配慮
乳糖が気になる日はラクトースフリー牛乳やオーツミルクへ。たんぱく質の風味が気になるなら、仕上げ30秒の温度押し上げと静かな注ぎを徹底します。体と相談しながら無理のない選択を。
ミニFAQ
Q. 前日に作って翌朝飲んでも大丈夫?
A. 冷蔵保存なら可能です。温め直しは極弱火で香りを戻しましょう。
Q. 植物性ミルクは分離しませんか?
A. 強火を避け、最後の30秒で温度を合わせれば分離は抑えられます。
ベンチマーク早見(保存の目安)
- 冷蔵:12〜24時間
- 再加熱:極弱火または10秒刻み
- 香り戻し:仕上げ30秒の静かな加熱
材料と保存の小表
| 項目 | 目安 | メモ |
|---|---|---|
| 砂糖→蜂蜜 | 同量〜8割 | 余韻を足す |
| 全乳→低脂肪 | そのまま | 軽さ優先 |
| 全乳→オーツ | +10〜20ml | 香り強めに |
まとめ
基本は「牛乳7:水3」「弱火で静かに」「仕上げ30秒」で、ロイヤルミルクティーの作り方は驚くほど安定します。
茶葉はCTCやアッサムで厚み、セイロンで香り、ブレンドで両取りができます。甘味やスパイスは最後に一拍で合わせ、足しすぎず輪郭を保ちます。
暮らしに合う道具と段取りを一つ決めれば、毎日の一杯はもっとやさしく、もっと自由になります。今日の気分に合う温度と香りで、静かな時間を育てていきましょう。

