ティーバッグでミルクティーを作ると、手早さは魅力でも味が薄い・渋いなどのブレが起きやすいです。
けれども湯温と時間、ミルクの温め方だけ整えれば、家の道具でも香りと甘みがすっと合わさります。
この記事ではティーバッグ前提の再現しやすい作り方を基準化し、紅茶の選び分けや比率の考え方、忙しい日向けの省手順までをまとめました。
- 湯温・時間・比率の三点を先に決めて再現性を担保
- ティーバッグは1袋150〜180mlを目安に設定
- ミルクは別鍋で温めてから合わせて口当たりを滑らかに
- 渋み過多は温度−3℃か時間−20秒の一手で調整
- 保存や二杯目の扱いはルール化して無駄を減らす
ティーバッグで作るミルクティーの作り方の基本設計
最初に決めるのは湯温・抽出時間・ミルク比率の三点です。ティーバッグは茶葉が細かく、短時間で出やすい一方で渋みも乗りやすい特性があります。そこで「お湯で紅茶を整え、温めたミルクと後で合わせる」二段式を基準にすると、香りが逃げず、コクも薄まりません。導入の合言葉は「お湯で決めて、ミルクで仕上げる」です。
道具と分量のスタンダード
マグまたは小ぶりのティーポット、タイマー、温度計(あれば)、小鍋、泡立て器またはスプーンを用意します。ティーバッグ1袋に対しお湯150〜180ml、牛乳120〜150mlが起点です。濃いめが好きならお湯を−20ml、軽めなら+20mlで調整します。
湯温は香りを決める「ツマミ」
ティーバッグは90〜95℃が目安です。香りを大きくしたい日は93〜95℃、柔らかさ優先なら90〜92℃。沸騰後にフタなしで1分置くとおよそ5℃下がります。温度計がない日でも「沸かして少し待つ」を習慣にすると安定します。
抽出時間は短く正確に
標準は1分45秒〜2分15秒。細かい茶葉ほど早く出るため、長く置くほど渋みが先行します。途中でバッグを上下に揺らし過ぎると雑味が出るので、軽く一度だけ動かす程度に留めましょう。
ミルクは別加熱で口当たりを整える
牛乳は鍋で60〜70℃まで温め、縁がふわりと震えるところで止めます。電子レンジの場合は10秒刻みで温め、温冷差を作らないのがコツです。先に紅茶を仕上げ、後からミルクを注いで比率を合わせます。
仕上げの順番と注ぎ方
紅茶→砂糖→ミルクの順にすると溶け残りが少なくなります。注ぐときはカップの縁近くから静かに。高い位置から勢いよく注ぐと香りが飛びやすく、泡立ちも増えるため、低く一定に注ぎます。
手順ステップ(基準レシピ)
- カップとポットをお湯で温めて水気を切る
- 沸かしたお湯を93℃前後にして150〜180ml準備
- ティーバッグをポットへ入れ、お湯を全量注ぐ
- 1分45秒〜2分15秒。途中で一度だけ軽く揺らす
- バッグを外して紅茶をカップへ注ぐ
- 別鍋で60〜70℃に温めた牛乳を120〜150ml加える
- 甘みを整え、低い位置からそっと混ぜて完成
材料と比率の小表(1杯目安)
| 項目 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| お湯 | 150〜180ml | 濃さに合わせ±20ml |
| 湯温 | 90〜95℃ | 香り優先は高め |
| 抽出 | 1:45〜2:15 | 短く正確に |
| 牛乳 | 120〜150ml | 60〜70℃で加熱 |
湯・時間・ミルク比率で味をデザインする
同じティーバッグでも、湯温・抽出時間・ミルク比率の三つで印象はがらりと変わります。ここでは香りの大きさ、渋みの制御、口当たりの観点から、数字と体感をつなぐ調整法を整理します。迷ったときは一手だけ動かし、結果を次回へ反映しましょう。
湯温の使い分けで香りを整える
93〜95℃は香りが立ち、コクが大きく出ます。90〜92℃は柔らかさが出て渋みが控えめに。渋いと感じたらまず−3℃、物足りなければ+3℃が分かりやすい一手です。
時間の伸縮で骨格を作る
1:45は明るく軽やか、2:15は厚みと余韻。ティーバッグは15秒の差が想像以上に大きく効くため、タイマー必須です。揺らしは一度だけ、取り出しは迷わず行いましょう。
ミルク比率で口当たりを決める
紅茶:牛乳=1:1〜1:1.2が基準。濃厚にしたい日は牛乳多め、香り優先の日は紅茶多め。砂糖は紅茶側に先入れすると溶け残りが減り、甘みの輪郭が馴染みます。
比較ブロック(温度と時間の印象)
| 設定 | 香り | 渋み | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 95℃×2:15 | 大きい | 出やすい | 甘い菓子と |
| 93℃×2:00 | 十分 | 中程度 | 基準日 |
| 90℃×1:45 | 穏やか | 少なめ | 食後に |
ミニ統計(ブレの主因ベスト3)
- バッグの揺らし過多:渋み増加の比率が最も高い
- 温度誤差±5℃:香りと渋みの印象が同時に変動
- 比率の勘違い:牛乳多めで香りが埋もれる
ミニチェックリスト(調整の順番)
- 渋い→湯温−3℃または時間−20秒
- 薄い→時間+15秒またはお湯−20ml
- 香り弱い→湯温+3℃/バッグの揺らしは一度だけ
- 甘みが浮く→紅茶側に砂糖を先入れ
- 重い→牛乳−20mlまたは紅茶+20ml
ティーバッグの選び方と抽出コントロール
ティーバッグは手軽さが最大の魅力ですが、茶葉のタイプやバッグ形状で仕上がりが変わります。ここでは茶葉の細かさ、バッグ形状、香料の有無の三点に注目し、ミルクティーに合う選択肢と扱い方をまとめます。
茶葉タイプ別の傾向
細かいブロークンやCTCは短時間で濃く出るため、ミルクと相性が良い一方で渋みも出やすいです。長時間は避け、時間を正確に。リーフ寄りの大きめ茶葉は香りが層状に出るため、軽やかで上品な仕上がりになります。
バッグ形状と抽出のムラ
ピラミッド型は茶葉がよく広がり、ムラが少なく安定。平袋は薄いカップで抽出すると温度が落ちやすいため、予熱をしっかり行うと良いです。素材はナイロンやソイロンなど、目の細かいものが口当たりを整えます。
香料付きフレーバーの扱い
バニラやアールグレイなど香料付きは甘みの錯覚が出やすく、砂糖量が少なくても満足しやすい反面、温度が高すぎると香りが尖ることがあります。温度は2〜3℃低めから試し、時間も短めで様子を見るのが安心です。
有序リスト(選び方の手順)
- 仕上がり像(濃厚/上品)を言語化
- CTC系かリーフ寄りかを選択
- バッグ形状(ピラミッド/平袋)を決める
- 香料の有無をチェックし温度を調整
- 1回目は短時間で着地点を確認
よくある失敗と回避策
薄い:お湯−20mlか時間+15秒。バッグの揺らしは一度に。
渋い:湯温−3℃か時間−20秒。強く絞らない。
香りが弱い:ピラミッド型を選ぶか予熱を徹底。
ミニ用語集
- CTC:粒状に揉んだ茶葉。短時間で力強い味
- ブロークン:細かく砕いた茶葉。渋みも出やすい
- ピラミッド型:三角立体のバッグ。対流が起きやすい
- 平袋:平たい袋型。予熱を念入りに
- フレーバード:香料付き紅茶。温度と時間は控えめ
お湯・水質・器の扱いで香りを底上げする
味の土台は水と器で決まります。ティーバッグでも水質、予熱、注ぎの高さを整えるだけで、香りの輪郭が一段くっきりします。数字だけでなく所作をそろえる意識を持ちましょう。
水質の選び方
軟水寄りは香りが抜けやすく、硬水寄りはボディが太りやすい傾向です。ミルクティーは中軟水程度がバランス良く、家庭の水道水でも沸騰後に1分置いて塩素臭を飛ばすだけで印象が変わります。
器の予熱は必須の下ごしらえ
カップやポットをお湯で十分に温めると、抽出中の温度低下が穏やかになり、短時間抽出でも香りが立ちます。電子レンジを使う場合も、器はお湯で温めてから使うと口当たりが安定します。
注ぎの高さと速度
高い位置から勢いよく注ぐと泡立ちが増え、香りが散りやすくなります。縁近くの低い位置から、細く一定に注ぐのがコツです。バッグの上に直接当て続けるのも渋みの原因になります。
無序リスト(仕上がりが良くなる小習慣)
- 沸騰後1分置いてから注ぐ
- ポットとカップは必ず予熱
- バッグは強く絞らない
- 注ぎは低く細く一定に
- 砂糖は紅茶側に先入れ
ベンチマーク早見(水・器・注ぎ)
- 放冷:フタなし1分で約−5℃
- 予熱:体感の濃さが一段階上がる
- 注ぎ:最後の数滴は残すのが安定
- 素材:薄手カップは温度低下が早い
- 対流:ピラミッド型はムラが少ない
シーン別レシピとアレンジ(ティーバッグ活用)
朝・仕事中・食後。時間帯や気分に合わせて、湯温と比率を一手だけ動かすと満足度が上がります。ここでは朝の明るさ、午後の落ち着き、仕事中の集中に向けた小さなアレンジを用意しました。
朝:明るく短時間で立ち上げる
93〜95℃×1:45〜2:00。紅茶:牛乳=1:1。香りを先に立たせ、砂糖は控えめに。バタートーストや果物と合わせるとバランスが良く、体が軽く動き出します。
午後:柔らかく長めの余韻
90〜92℃×2:00〜2:15。紅茶:牛乳=1:1.2。スパイス少量(シナモンひとふり)で体感温度が上がり、読書や作業の合間に合います。甘い焼き菓子には紅茶多めも相性良しです。
仕事中:集中を切らさない軽さ
92〜93℃×1:45〜2:00。紅茶:牛乳=1:0.9〜1。マグで手早く、温度が落ちる前に飲み切れる量を意識します。砂糖は紅茶側に先入れして溶け残りを避けます。
手順ステップ(簡易チャイ風・ティーバッグ)
- 小鍋に牛乳150mlを入れて弱め中火
- 沸騰直前で火を止め、ティーバッグを1袋入れる
- フタをして2分。香りが立ったら軽く混ぜる
- 砂糖と少量のシナモンを加え、静かに注ぐ
- 渋いときは湯で薄めず、次回は時間を−15秒に
ミニFAQ(シーン別の疑問)
Q. ハチミツはいつ入れるべき?
A. ミルクを注いだ直後が溶けやすく、香りも残りやすいです。
Q. 氷でアイスにしても良い?
A. 濃いめに作ってから氷で急冷すると、香りがぼけません。
比較ブロック(シーン別の設計)
| 場面 | 湯温 | 時間 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 朝 | 93〜95℃ | 1:45〜2:00 | 1:1 |
| 午後 | 90〜92℃ | 2:00〜2:15 | 1:1.2 |
| 仕事中 | 92〜93℃ | 1:45〜2:00 | 1:0.9〜1 |
保存・二杯目・道具ケアで味を保つ
暮らしに合わせて作り置きや二杯目を楽しむ日もあります。味を落とさず続けるには、保存の温度帯、温め直し、道具のケアを軽やかに回すのが近道です。
保存の基本ルール
抽出液の保存は冷蔵で12〜24時間が目安。再加熱は弱火または電子レンジ10秒刻みで、沸騰直前で止めます。バッグや茶葉は必ず外してから冷やし、におい移りを防ぎましょう。
二杯目の考え方
ティーバッグの再抽出は渋みが出やすいため、原則おすすめしません。どうしても使う場合は湯温+3℃、時間−20秒で軽く仕上げ、砂糖やハチミツで輪郭を整えます。
道具のケアとにおい対策
ポットやカップの茶渋は風味を濁らせます。重曹や酸素系漂白剤を薄く溶き、短時間で落としてよくすすぎましょう。スポンジは紅茶用を分けると香りの混在を避けられます。
注意ボックス(やりがちなNG)
バッグを強く絞る/再加熱で沸騰させる/保存前に茶葉を外さない。この三つは味の劣化に直結します。
ミニ統計(保存・ケアの目安)
- 冷蔵保存:12〜24時間
- 再加熱:弱火または10秒刻み
- 茶渋除去:週1回のケアでにおい移りを抑制
材料と手順の小表(作り置き)
| 項目 | 目安 | メモ |
|---|---|---|
| 濃いめ抽出 | 95℃×2:15 | 氷で割る前提 |
| 冷却 | 粗熱→冷蔵 | 茶葉は必ず除く |
| 温め直し | 弱火/10秒刻み | 沸騰直前で止める |
まとめ
ティーバッグで作るミルクティーは、湯温・時間・比率の三点を決め、紅茶とミルクを分けて整えるだけで安定します。
渋みは温度、物足りなさは時間、口当たりは比率で小さく動かすと因果が追いやすいです。
所作をそろえ、一手ずつ検証すると、いつもの一杯がぐっと澄んで満足感が続きます。

